雪が多くなると、屋根の雪下ろしの事故が毎年ニュースになる。
私も昔物置の屋根の雪下ろしをした時、怖い思いをした。
物置脇の高く積もった雪を登って物置の屋根ヘ渡ろうとした所、雪が考えた程固くなっていなかった。
だからいきなりズボっと雪山に埋まってしまった。
幸い、埋まったのは胸当たりまでで、両手は埋まっていなく、持っていたスコップもそのまま握っていた。
この時、すぐに脱出できると思っていた。
しかし、胸から下はびくとも動かなかった。
雪山に埋まっている部分は大袈裟ではなく、1ミリも動かすことが出来ない。
鋳型に入れられた液体のように雪はぴったりと身体にはりついているのだ。
思いがけない状態になり恐怖を感じた。
物置は家の裏にあり、通りからは見えない。
誰の助けも期待できなかった。
だから、自力で脱出するしかなかった。
幸い腕は自由だったからまずは埋まった表面の雪を手で掻き分ける。
そうやって少しずつ、雪と身体の間に空間を作っていった。
腰の当たりまで空間を作って、頑張って腕の力だけで、身体を持ち上げようとしたが、非力なのか、無理だった。
だからさらに腰から下の方にも空間を作り、上半身を前後左右に動かして、足周りにも空間を少しずつ作った。
そうやって、ひざが少し動かせるようになって、ようやく身体を持ち上げ雪山から脱出できたのだった。
雪山に身体全部埋まったら………
全く身動きできず、窒息とかで命を落とす事になるんだと、身をもって経験した出来事だった。